20 世紀を語ろう

2000年4月18日新潟日報夕刊に掲載したコラム【晴雨計】12回目



「もうすぐ21世紀がやってきます。私は20世紀がどういう時代だったのか改めて検証することが今求められている、と考えている者の一人です。この会議室では昭和の歴史、特に戦後の歴史に関する発言が、極端に少ないようです。私は昭和の歴史について皆さんと語り合いたいと希望しています。

 この文章は大手パソコン通信の電子会議室、歴史系フォーラムで、昨年2月はじめて発した私の発言である。タイトルは「20世紀の宝物を探そう」としてみた。電子会議室といってもさまざまな会議室がある。その性格にも硬軟あって、非常に専門性が高いものから、思ったことを気楽に発言しているものまで実に多様である。わたしは当時、歴史系フォーラムに興味があり、会議室を覗いては発言を読むことを自宅での夜の楽しみとしていた。

 鎌倉時代、戦国時代、幕末などの会議室ではチョット入り込めないほどマニアックで熱心な会話が展開されている。非常に面白い。が、戦後の歴史についての発言が乏しい。これはナゼなんだろう。現代に近づくほどに生暖かくなってきて、個人の思想・イデオロギーがもろに出てきてしまいがち。意見の違いが高じて、罵詈雑言に発展する危険性があることも覗いていて解かったことだ。

 20世紀の文化は「巷(ちまた)の文化」である。少年時代に読んだ漫画や、場末の映画館で見た映画の感動が今の自分の支えになっている。映画・小説・漫画・ラジオ…少年時代から青年期への成長過程で一人一人の感性に飛び込んできたもの、それが巷の文化だ。20世紀を語る時に、イデオロギーの壁を超え、立場や世代を超えて語り合うには、「巷の文化」を語ることから始めるのが一番良い。こんな私の愚考から発した冒頭の発言だった。以来、漫画や映画、さまざまな社会現象にいたるまで、電子会議室で語りあってきた。電子会議室は、地域や職場などでの会議とは一味違った意味で、私の頭の体操になっている。



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