異文化研究の感動

2000年3月14日新潟日報夕刊に掲載したコラム【晴雨計】7回目




韓国の玄関、金浦空港にて学生たちのスナップ
(2000年11月撮影)

 私の奉職する専門学校では卒業年次生を対象に異文化研究なる科目がある。コース別 にガイダンスを受講した後、アジアをはじめとして欧米方面で短期間滞在して、異文化に触れてくるというものである。 私たち講師陣は、交代で引率の任に当たることになる。
 私は一昨年台湾、そして昨年は韓国に学生を引率して行ってきた。海外にいく度に、私は日本について考えさせられる。日本にいては気がつかなかった日本の姿、形が見えてくる。台湾・韓国のどちらの国も非常に活気が溢れており若者が元気だ。特に女性のバイタリティには圧倒される。韓国のバスガイド嬢の一人は「我が国は今不景気なんです」と話してくれた。言葉とは裏腹に街は活気に溢れ、道行く人は実に生き生きと歩いていた。
 ソウルは近代的な街並みの中に、古色蒼然とした建築が随所にある。これらの古い建築は国宝に指定されており、徹底して維持・管理されている。この徹底ぶりは残念ながら日本にはないもので韓国から学ぶべきものだ。  学生と共にロッテワールドで遊んだのち、この建物の中にある、「韓国博物館」という施設に入ってみた。古代から現代までのこの国の歩みを実にわかりやすく展示されている。
 古代人が熊を狩猟するシーンが、原寸大のジオラマで作られていて、しかも動いているのにはビックリ。精巧に造られた建築模型には、おびただしい数の表情豊かな人形たちがその時代の装束を着て配置されている。四季折々の庶民の暮らしぶりから、宮廷の儀式まで俯瞰しながら見ていくことができる。展示の見事さに心を奪われ、危うく集合時間に遅れるところだった。あまり期待もしないで館内に入った私であったが、博物館で時間を忘れるほど感動したことはかつてなかった。
 韓国は古いものを大切にしている。庶民の暮らしの中に歴史が息づいている。ということを実感して帰ってきた。それに引き替えどこかの国は未だに開発の夢に浮かされている。 



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